Common Core State Standardsの導入と現地校の勉強
2011年から米国の公教育ではCommon Core State Standardsの導入が始まりました。学校の教科書にも「CCSS対応」と書かれたものが多くなってきました。また学校区(School District)のHPにもCommon Core Standardsについての説明や沢山の資料が掲載されています。
アメリカの教育レベルは世界で10位以下と世界の国々から大きく離されてしまいました。このままではグローバルレベルでの競争に敗退してしまうという危機から、オバマ政権が教育改革に着手し、前代未聞の大きな教育改革を始めたのです。
アメリカの教育は各州の元に独立した方法でカリキュラムが決められ、生徒の熟練度も各州が試験等で評価してきました。今回の改革は米国としての標準的な教育基準を設定し、それに沿った内容で各州において実施方法や生徒の学力向上の施策を決定する方法の導入です。
2010 年 3 月「改革への青写真―初等中等教育法の 改正―(以下,ブループリント)」が公表されました。「ブループリント」は,「『2020 年までに 大学・短大の卒業率に関して再び世界をリードする』ことを目指した初等中等教育改革に
関する政策文書」です。このようなことを目指す「ブループリント」には,大学進学や就業に必要な力を有する生徒を育てるという目標がりました。この流れを受けて開発が進められたのが、州共通基礎スタンダード(Common Core State Standards)です。
1. Common Core State Standardsとはなにか
CCSSの目的は,高校卒業までに全ての生徒がリテラシーに関して大学や仕事の準備ができるよう保障することです。では,大学や仕事の準備ができるとはどのような状態を言うのでしょうか。それを具体的に表しているのが,CCSSの「リーディング,ライティング,スピーキング,言語に関して大学や仕事の準備ができた生徒」です。具体的には以下の様な資質を育てることが今回の改革の目標になっています。
・自立性を示す
・強い知識内容を構築する
・読者,タスク,目標,分野の変化する需要に答える
・理解だけでなく,批判もする
・証拠を見極める
・戦略的に,またうまく科学技術やデジタルメディアを用いる
・他の見方文化を理解するようになる
例えば,「証拠を見極める」には,「生徒は口頭で提案したり,解釈がテキストに書かれている時,具体的証拠を引用する。生徒は自身の書くことや話すことの要点を裏付けたり,読み手や聞き手にとって自分の論理を明確にする関連性のある証拠を用い,また前向きに証拠の他の使用を評価する」とあり、このような姿を高校卒業時に見せるような生徒を育成することが,CCSSの目的であるとしています。
2. 現地校の学習内容がどのように変わるのか
本年度から学校ではCCSSに対応した教科書を使ったり、先生も独自にCCSSを念頭に置いたワークシートなどを使い始めているようですが、先生方にとっても大きな変化になり対応が遅れているところもあるようです。しかしながら、今回の改革はカリフォルニア州の法律として可決され、2014−15年度(2014年秋)から正式導入されることになりますので、色々と混乱が起きることは予想されます。ひとつ考えられるのは、英語のクラスでの文章表現が重視されていくことでしょう。自分の考えを根拠を示しながら表現していくことが更に要求されると考えられます。また、数学も答えに行き着くステップが更に重視され、問題を深く理解することが求められると思われます。とくに、次に述べる標準テストの移行により、自分の考えを文章で示すことが必要になってきます。